介護職への特定最低賃金の導入をわかりやすく解説【2025年最新】決め方や影響は?
- 介護職で導入される「特定最低賃金」とは?仕組みと導入背景を【わかりやすく解説】
- 特定最低賃金(特最賃)の定義と決め方は?地域別最低賃金との違いも
- 「労使の申出」が前提となる決定プロセスと仕組み
- 公定価格である介護報酬に適用する際の難しさ
- なぜ今、介護業界で導入が議論されているのか?深刻な人手不足と政府方針
- 全産業平均と比較して低い賃金水準と人材確保の課題
- 2025年3月の厚労相・首相発言から分析できる「政治判断としての側面」
- 特定最低賃金はいつから適用される?今後のスケジュールと見通し
- 給料は上がる?特定最低賃金が介護職へもたらす影響の試算シミュレーション
- 特定最低賃金導入で給料がいくら上がるのか?シミュレーション結果
- 職種・雇用形態(正社員・パート)で比較検証した結果
- 導入に向けた3つの課題「財源・経営影響・地域格差」を分析及び考察してみた
- 課題1:賃上げを実施しても、介護報酬(公的価格)を連動して引き上げる必要性
- 課題2:人口減少の影響を受ける地方の中小介護施設が潰れてしまう可能性
- 課題3:都市部ではすでに最低賃金が高水準なので、賃上げ効果が薄れる可能性
- 特定最低賃金制度の動向を踏まえて、介護職として働く人が【今すぐできるキャリア対策]
- 賃上げに頼らず、資格取得による基本給ベースアップを考える
- 【独自チェックリスト】働きやすい事業所の項目を確認する
介護職で導入される「特定最低賃金」とは?仕組みと導入背景を【わかりやすく解説】

特定最低賃金(特最賃)の定義と決め方は?地域別最低賃金との違いも
- 最低賃金には「地域別」と「特定」の二種類があり、両方当てはまるときは高い方の金額が優先
- 地域別最低賃金は都道府県ごとに一つだけで、その地域で働くすべての人と事業者に広く適用
- 特定最低賃金は業種をしぼって地域別より高い水準を決めるもので、2025年3月末時点で224件・約296万人が対象 👉 すでに多くの産業で使われている制度
- 介護職に特定最低賃金を導入すると「少なくともここまではもらえる」というラインを法的に決められる可能性
特定最低賃金(特最賃)は、地域別最低賃金より高い賃金の下限を産業ごとに決める制度であり、介護職の賃金を底上げするための「もう一段上の最低ライン」と言えるでしょう。
一方で、日本では都道府県ごとに一つだけ定められる地域別最低賃金も存在し、この二つが組み合わさって働く人の「最低ライン」を決めている状況です。
まずは、この二種類の違いと、特定最低賃金がどのような流れで決まるのかを押さえておくと、ニュースや介護現場の話題がかなり整理されて見えてくるはずでしょう。
厚生労働省の解説では、最低賃金は「地域別最低賃金」と「特定最低賃金」の二種類とされ、それぞれ役割が分かれていると説明されています。
地域別最低賃金は、産業や職種に関係なく、都道府県内のすべての労働者と使用者に適用される基準で、各都道府県に一つずつ、合計四十七件が告示されている形です。

これに対して特定最低賃金は、鉄鋼や小売など特定の産業を対象に、地域別最低賃金より高い水準を設定するものであり、「この業種で働く人には少なくともここまで払う」というラインを示す役目があります。
同じ資料によると、2025年3月末時点で全国に224件の特定最低賃金があり、およそ九万の事業主と約296万人の労働者が対象となっている状況です。

地域別最低賃金と特定最低賃金の両方が当てはまる人には、高い方の金額以上を払わなければならないとされており、「どちらかではなく、より高い方が優先される」という考え方になっています。
特定最低賃金という言葉だけ聞くと難しく感じるかもしれませんが、「地域で共通の下限」と「業種ごとの一段高い下限」がある、というイメージでとらえると少し理解しやすくなるはずです。
「労使の申出」が前提となる決定プロセスと仕組み
特定最低賃金は、国や都道府県が一方的に金額を決める制度ではなく、関係する労働組合と事業主団体が「この業種ではより高い最低ラインが必要だ」と申し出るところから動き始めます。
申出では、対象とする産業や職種、地域、想定する時給水準、人手不足の状況などを整理し、都道府県労働局長あてに資料として提出する形が基本です。
その後、都道府県の地方最低賃金審議会で、賃金分布や企業の支払い能力、地域経済への影響などが議論され、本当に地域別最低賃金より高い下限を付ける必要があるかどうかを検討していきます。
審議会が「必要だ」と判断した場合、労働局長が特定最低賃金として金額や適用範囲を決定し、公示を経て一定期間の周知のあとに適用開始となる、という流れです。
介護職への特定最低賃金を本気で実現しようとすると、「国が決めてくれるのを待つ」のではなく、現場の労働者と事業者がデータと理由をそろえて声を上げることがスタートラインになる、という点がポイントでしょう。
公定価格である介護報酬に適用する際の難しさ
介護分野で特定最低賃金の話になると、必ず挙がるのが介護報酬とのバランスです。
介護報酬は介護保険の財源をもとに国が決める公定価格で、基本的には全国どこでも同じ単価が適用され、事業者の主な収入源になっています。
一方、最低賃金は都道府県ごとに水準が違い、物価や賃金の動きを踏まえて毎年のように見直されるため、人件費だけが先に上がりやすい制度だと言えるでしょう。
つまり、介護職に特定最低賃金を設けて賃金の下限だけを引き上げても、介護報酬側の見直しが追いつかなければ、特に中小の事業所ほど人件費負担が重くなりやすい状況です。
埼玉県の医療・介護分野の労働組合がまとめた意見書でも、診療報酬・介護報酬は全国ほぼ同じ水準であるのに対し、地域別最低賃金の地域差が賃金の差につながり、人材確保を難しくしていると強く訴えられています。
介護職への特定最低賃金を考えるときは、「賃金だけ」の話にとどめず、介護報酬の改定や自治体独自の支援、国全体での財源の分担なども合わせて議論する必要があるテーマだと言えるでしょう。
なぜ今、介護業界で導入が議論されているのか?深刻な人手不足と政府方針
- 平均給与は33万8,200円まで伸びたものの、全産業との月給の差は8.3万円に拡大
- 採用率14.3%・離職率12.4%で、「人が足りない」と答える事業所が6割超
- 「辞める人より入ってくる人が少ない」状態が続き、現場の負担感が増している
- 賃金の下限をはっきり決める手段として、介護向けの特定最低賃金が政治レベルで議題に
介護に特定の最低賃金を設けようという流れは、他の仕事より低い賃金のまま人手不足が長く続いているからです。
たしかに処遇改善加算や報酬改定の積み重ねで、平均給与だけを見ると数字は上向きになってきました。
厚生労働省の令和6年度介護従事者処遇状況等調査の概要では、処遇改善加算Ⅰ〜Ⅴを取得している事業所で働く常勤介護職員の平均給与が33万8,200円、前年より1万3,960円(4.3%)増えたと整理されています。
一方で、厚労省が賃金統計として示したデータでは、全産業の平均と介護職員の給与の差が月6.9万円から8.3万円へ広がったと報告され、他の業種より水準が低いことがあらためて浮かび上がったと言えるでしょう。
さらに、公益財団法人介護労働安定センターの令和6年度の介護労働に関する調査では、訪問介護員と介護職員を合わせた2職種の採用率が14.3%、離職率が12.4%とされ、従業員が「かなり不足」「不足」「やや不足」と答えた事業所が6割超に達したと示されています。
「辞める人は減ったのに、新しく来てくれる人が足りない」と感じる現場の空気と、数字がぴったり重なっている状態です。
こうした中で、既存の加算だけでは人材確保が追いつかないという問題意識が強まり、「賃金の下限そのものを高く決めるべきでは」という議論が特定最低賃金をめぐって一気に加速しました。
全産業平均と比較して低い賃金水準と人材確保の課題
さきほどの平均33万8,200円という数字も、勤続年数別に見てみると印象がかなり違うはずです。
同じ令和6年度介護従事者処遇状況等調査(概要)では、常勤介護職員の平均月給が勤続1年目で29万8,760円、5〜9年で33万5,640円、10年以上で35万9,040円と示されています。

つまり10年以上働いても、1年目との違いは月6万円前後で、1年あたりに直すと月5,000円ほどの増加ペースでした。
給与の内訳を見ると、基本給19万2,660円、手当9万7,980円、一時金4万7,560円というかたちになっており、夜勤や各種加算を乗せてようやく今の水準、というバランスになっています。
- 勤続1年目 :29万8,760円
- 勤続5〜9年目:33万5,640円(1年目から+約3万7,000円)
- 勤続10年以上:35万9,040円(1年目から+約6万円)
数字だけを見れば、毎年少しずつ賃金は上がっています。ただ「責任は増えていくのに、10年かけても月6万円の差」と考えると、「長く続けるほどぐっと伸びていく仕事」とは言いにくい、という感覚を持つ人がいても不思議ではないでしょう。
加えて、厚労省が社会保障審議会に示した資料では、全産業の平均給与と介護職員の給与の差が月8.3万円に達し、前年の6.9万円から1.4万円広がったと報告されています。

「統計上は賃金が上がっているのに、他の仕事とのあいだの差は大きいまま」という状況が、求人しても応募が集まりにくい理由のひとつになっていると考えられます。
2025年3月の厚労相・首相発言から分析できる「政治判断としての側面」
2025年3月には、国会と会見の場で相次いで「介護×特定最低賃金」が取り上げられ、「いよいよ国として本格的に動くのでは」という受け止めが広がりました。
まず参議院予算委員会での質疑では、介護産業に特定最低賃金を設定すべきだという問いに対し、石破首相が「本来は労使が主体となる制度だが、賃金が上がっていかなければこの国の経済はもたないので、政治主導で判断したい」といった趣旨の答弁をしています。
その直後、自民・公明両党の幹事長会談では、介護を含むエッセンシャルワーカーの賃上げに向けて特定最低賃金の活用を検討する方針で一致したことが、労働組合の情報発信などでも紹介されました。
続いて3月21日の福岡大臣会見概要では、令和6年度処遇状況等調査で介護職員の平均給与が前年より4.3%(1万3,960円)増えたことに触れつつ、「他産業と人材の取り合いになっている介護分野の処遇改善は、引き続き喫緊の課題」と述べました。
同じ場面で大臣は、特定最低賃金について「地域別最低賃金とは違い、労使のイニシアティブに基づく任意の制度」と整理したうえで、労使からの意見や特定最低賃金の現状をもう一度確認し、活用の検討を進めたいという考えも示しています。
数日のあいだに首相・与党幹部・担当大臣がそろって特定最低賃金に触れたことで、「一部の団体だけが訴えているテーマ」から「国として方向性を示す段階」に一歩踏み込んだ、と感じた方も多いはずです。
現場から見ると、「国が賃金の下限に責任を持つ方向に舵を切りつつあるのか」を慎重に見極めたいタイミングと言えます。

特定最低賃金はいつから適用される?今後のスケジュールと見通し
「いつから介護にも特定最低賃金が適用されるのか」が一番気になるところですが、2025年11月時点で国として具体的な開始時期や金額はまだ決まっていません。
厚生労働省の特定最低賃金についてのページによると、令和7年3月末現在で全国に224件の特定最低賃金があり、約9万の事業者と約296万人の労働者が対象とされていますが、その一覧に介護分野の名称はまだ登場していない状況です。
同ページでは、特定最低賃金は関係する労使からの申出を受けて最低賃金審議会で審査し、都道府県労働局長が決定する流れだと説明されています。
介護職については、日本医療労働組合連合会が全国特定最低賃金決定の申出の中で、老人福祉・介護事業で働く介護職183万3千人を対象に、全国一律の特定最低賃金を求めているところです。

ただ、この申出がいつ、どの地域から実際の金額として形になるのかについては、公表されている審議会資料を見てもまだ結論は出ていません。
同じタイミングで、2026年度中の介護報酬の期中改定による賃上げなども議論されており、「報酬改定」と「特定最低賃金」のどちらをいつ先に動かすのかは、今後の政治判断に委ねられている段階です。
現場としては、「来年度から全国一律で特定最低賃金が一気に始まる」と決めつけてしまうよりも、自分が働く都道府県の最低賃金審議会の議論や、介護報酬の臨時改定に関する情報を追いながら、「数年かけて順番に進む可能性が高い」と落ち着いて見ておく方が現実的かもしれません。

給料は上がる?特定最低賃金が介護職へもたらす影響の試算シミュレーション

特定最低賃金導入で給料がいくら上がるのか?シミュレーション結果
特定最低賃金が介護職に導入されると、フルタイムの人で月7,000〜1万1,000円前後のプラスが見込めるケースが多いと考えられます。
その土台になっているのが、介護従事者処遇状況等調査で示された常勤の平均月給33万8,200円という数字。
基本給19万2,660円に手当や一時金が加わり、ここ数年は1万円強ペースでじわじわ増えてきたといえるでしょう。
一方で特定最低賃金は、地域別の一般的な最低額より少し高い時給を産業ごとに決める制度で、全国平均では一般の最低賃金1,055円に対し1,063円という差がついている状況です。
すでに定められている業種の例を見ると、福島県内の特定最低賃金では地域別955円に対して自動車小売業1,020円など、40〜60円台の上乗せがいくつも確認できる状況。
この40〜60円ほどの差を時給に当てはめ、週40時間・月約173時間働くパターンで計算すると、月の増加分はおおよそ7,000〜1万1,000円になります。

地域別最低賃金すれすれの時給で働く人ほど影響は大きく、都市部で30万円台後半を得ている人は直接の変化が小さい場合もあるでしょう。
- 時給+40円 → 月+約7,000円
- 時給+65円 → 月+約1万1,000円
もっと増えてほしい気持ちもあると思いますが、介護職員の処遇改善についてで示された過去の加算と並ぶ水準の上乗せになり得るため、「もう一歩の底上げ」として考えておくと現実的かもしれません。
ただし、実際の金額は今後の審議や介護報酬との調整次第で変わるため、ここでの数字はあくまで目安のシミュレーションと受け取ってください。
職種・雇用形態(正社員・パート)で比較検証した結果
特定最低賃金が導入されると、変化を感じやすいのは正社員より時給のパート、とくに訪問介護で働く人たちです。

介護従事者処遇状況等調査では、処遇改善加算を届け出ている常勤介護職員の平均給与は33万円台とされ、時間に直すと時給1,300円前後とみてよいでしょう。
令和6年度の全国調査では、パートの平均時間給が約1,260円とされ、地域別最低賃金と近い水準の人も少なくありません。
ここで全国一律で時給1,300円の特定最低賃金が決まると仮定すると、時給1,100〜1,250円のパートは1時間あたり50〜200円の上乗せとなり、月10万円台前半の収入が数千円から1万円ほど増える計算です。
一方で、常勤の正社員はもともと時間あたり1,300円前後に届いている人が多く、「制度が始まったから急に給料が増えた」というより、パートの時給改善で夜勤やシフトの負担が少し軽くなる変化のほうが現実的でしょう。
- 常勤介護職員:平均33万円台
- パート:平均時給約1,260円 → 仮に1,300円なら50〜200円アップ
数字だけを見ると「少しずつ上がっている」ようにも映りますが、月の手取りや生活まで考えると、まずパートの底上げに近い制度だと感じる人が多いはず。
導入に向けた3つの課題「財源・経営影響・地域格差」を分析及び考察してみた


課題1:賃上げを実施しても、介護報酬(公的価格)を連動して引き上げる必要性
介護職の賃上げを本気で進めるなら、特定最低賃金だけではなく、介護報酬も一緒に引き上げないと現場の経営が持たないでしょう。
理由はシンプルで、売上の大半が公定価格で決まるからです。
利用者から自由に料金を上乗せできない一方で、人件費だけが急に増えると、黒字だった事業所も一気に赤字へ傾きかねない状況。
厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査(令和6年度概要)を見ると、常勤の介護職員の平均月給は約33万8,000円で、ここ数年で1万円台の伸びが続いていることがわかります。
決してゼロではないものの、10年以上働いても増加分はおよそ6万円前後にとどまり、他業種と比べると物足りなさを感じる水準でしょう。
そこで国は、新しい介護職員等処遇改善加算で賃金を上向かせつつ、特定最低賃金という追加の底上げも検討中。
ただ、厚労省の経営データでは多くの介護サービスで収入の6〜7割が給与で占められており、このまま賃金だけを高くすると、人材確保どころか事業継続そのものが危うくなります。
だからこそ、特定最低賃金の水準を決めると同時に、介護報酬をどこまで引き上げるか、利用者負担と保険料をどう分かち合うかをセットで議論する必要があるのです。
イメージとしては、次のような組み立てになります。
- 特定最低賃金で「ここまで払う」を決める
- 介護報酬を上げて、その原資を事業所に届ける
- 処遇改善加算で経験や役割に応じて配分を調整
この順番で考えれば、「賃上げはしたいのに払えない」という声と、「安心して介護を受けたい」という利用者側の願いを、少しずつ近づけられるはずです。
課題2:人口減少の影響を受ける地方の中小介護施設が潰れてしまう可能性
人口が減る地域ほど、特定の最低賃金が導入されると小さな介護事業所から先に追い込まれるおそれが高いでしょう。

たとえば中山間地域でデイサービスを1か所だけ運営していると、利用者数は大きく増えないのに、人件費だけが一気に上がるイメージになります。
しかも介護サービス施設・事業所調査を見ると、多くの事業所は利益率が数%台で、もともと余裕が大きいとは言えません。
そこに特定最低賃金が上乗せされれば、「職員の給与は上げたいけれど、事業を続けられるか不安」という声が強まります。
介護報酬の地域加算や、期限を区切った人件費の補助、法人同士の連携支援などがセットで整えば、「賃上げ=事業終了」になりにくくなるはずです。
逆に言えば、賃金だけを引き上げて収入側の手当てが追いつかなければ、サービスの担い手が減り、結果的に利用者や家族が困る可能性もあります。
利益率が数%の事業所が、賃上げで人件費を数%超上げる
👉この2つが重なると「給与は上げたいのに、続けるのが怖い」という状況になりがち。
特定の最低賃金を評価する時は、「いくら上がるか」だけでなく、「地方の小さな事業所が続けやすい形になっているか」まで一緒に見ていく必要があると考えられます。
課題3:都市部ではすでに最低賃金が高水準なので、賃上げ効果が薄れる可能性
都市部では地域別最低賃金がもともと高いため、特定最低賃金を導入しても「思ったより給料が変わらない」と感じる人が出やすい状況です。
東京や神奈川では地域別最低賃金の全国一覧を見ると時給1,200円前後が下限となっており、最初から1,300円前後で募集する事業所も少なくありませんでしょう。
このとき特定最低賃金を1,250円にしても、すでにその水準を超えている人には月数百円〜数千円程度しか変化がないケースもあります。
一方で、介護従事者処遇状況等調査では常勤介護職員の平均月給が33.8万円と示されており、都市部では人材確保のためにこれより高い給与を提示する求人も多いです。
- 時給1,300円の常勤スタッフ → 基準1,250円なら変化なし
- 時給1,200円のパート → 基準1,250円なら月5,000円前後アップ
このように、特定最低賃金は都市部の多くの人にとって「今の水準を確認する線」になりやすく、大きな昇給を感じにくいかもしれません。
だからこそ、介護職員等特定処遇改善加算や独自手当をどこまで上乗せできるかが、都市部で働く人にとっての納得感を左右するといえるでしょう。
特定最低賃金制度の動向を踏まえて、介護職として働く人が【今すぐできるキャリア対策]
賃上げに頼らず、資格取得による基本給ベースアップを考える
将来の収入を安定させたいなら、賃上げを待つより資格で基本給を底上げする発想が欠かせません。
理由はシンプルで、夜勤手当や処遇改善手当はシフトや制度変更でぶれますが、基本給は一度上がると下がりにくいからでしょう。
厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査を見ると、介護福祉士の平均月給はおよそ35万円で、無資格の職員より数万円高い水準になっている状況です。
しかもこの金額には夜勤手当なども含まれるので、資格の有無で差がつきやすいのは、毎月のベースになる部分だと考えられます。
イメージを持ちやすいように、たとえば「今は月28万円、3年以内に資格を取って31万円、その後は介護福祉士で33万円」といった自分なりの収入の階段を書き出してみると、目標がぱっと見えるはず。

職場の就業規則で資格手当や役職手当の条件を確認し、どの段階でいくら上乗せされるのかをメモに落とし込むと、数字のストーリーも具体的になります。
あとは、事業所の資格取得支援や雇用保険の教育訓練給付金をチェックし、「講座費用はいくら自己負担か」「通学と通信のどちらが続けやすいか」を書き添えるだけ。
将来特定最低賃金が介護分野に広く導入されたとしても、資格と経験で基本給を引き上げておけば、制度の動きに振り回されにくい働き方に近づけるでしょう。
【独自チェックリスト】働きやすい事業所の項目を確認する
働きやすいかどうかは、月給の金額だけでなく、人の配置や育成のルールまでまとめて見て判断することが大切です。
厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査では、介護職員の平均月給は33万8,200円と示されており、自分の提示額がここからどれくらい離れているかをまず確認したいところでしょう。
そのうえで、夜勤1回あたりの担当人数や残業時間、有給の取得状況を面接で数字ベースで聞くと、「忙しさ」のイメージがかなり具体的になります。
介護労働安定センターの全国調査でも、悩みの上位は「人手が足りない」「休暇が取りにくい」といった声が多く、ここをあいまいにしたまま入職すると後でつらくなりがちです。
さらに、評価面談の頻度や昇給ルール、資格取得をどこまで支援してくれるかも重要で、制度変更時の賃金の扱いや過去の対応を聞くと、職員への向き合い方が見えてきます。
- 月給の内訳(基本給・手当・賞与)と、地域別最低賃金や特定最低賃金との差
- 夜勤体制や1人あたりの利用者数、残業や有給の目安
- 評価面談の頻度、昇給や役職のルール、制度変更時の賃金の扱い



