介護職の給料が安すぎる理由を独自調査【2025年最新データ参照】手取り平均と5つの理由
- 介護職の給料は本当に安すぎるのか?独自調査により2025年の最新状況を分析
- 【基礎知識】データ(平均月収33.8万)と実感(手取り20万)に大きな差を感じると言われる理由
- 【具体的に】控除によって、総支給(額面)と「手取り」はいくら違う計算になる?
- 手当に依存しており「夜勤なし」では生活できない
- 基本給が低いことで賞与・退職金も下がり生涯賃金へ悪影響を及ぼしてしまう
- 手取り12万で生活できないレベルのケースも?ハローワーク求人を元に実態調査
- 勤続10年でも昇給が6万円程度?勤続年数別の平均給与と賃金カーブを調査
- なぜ介護職の給料は上がらない?安すぎると言われやすい5つの根本的な理由
- 理由1:国の「介護報酬(公定価格)」により会社の収益上限が決まってしまっている
- 理由2:深刻な人手不足(有効求人倍率が3倍超え)により、とにかく負荷が高い
- 理由3:処遇改善加算などの政府による支援の”実感が無い”から
- 理由4:「名ばかり管理職」問題により、昇進しても報われない
- 理由5:なぜか社会的な評価が低くなりがちで介護保険の財源不足も影響
- 給料が安すぎる”今の職場で給料を上げる”には何がベスト?介護職で収入を増やす4つの具体的アクション
- アクション1:資格取得(介護福祉士・ケアマネ)で資格手当を得る
- アクション2:処遇改善加算の配分ルールを確認し、上司に交渉する
- アクション3:今の職場の評価制度と昇給条件を再確認する
- アクション4:「夜勤手当」「土日祝手当」など一時的対処でOKなので働き方を見直す
- 【最後に】介護職の給料は今後上がる?2024年改定以降の賃金見通し
- 2024年度の介護報酬改定による「報酬+1.59%」と処遇改善加算一本化給与は増えるか
- 今後の動向は「ベースアップ加算の継続」と「最低賃金の上昇」にかかっている
介護職の給料は本当に安すぎるのか?独自調査により2025年の最新状況を分析


【基礎知識】データ(平均月収33.8万)と実感(手取り20万)に大きな差を感じると言われる理由

- 「平均月収33.8万」は、基本給+各種手当+賞与の月あたり分を合計した数字
- 勤続年数が長い人や資格が多い人もまとめて平均しているため、若手は届きにくい水準
- 社会保険料と税金が引かれることで、手取りは20万円台前半になりやすい
- 介護職は手当の割合が大きく、夜勤や残業が減ると一気に収入が下がる場合がある
- 基本給が低いと、賞与・退職金・生涯収入にも影響しやすい
ニュースやネットでは「介護職の平均月収は33.8万円」と目にする一方で、自分の給与明細を見ると手取りは20万円前後…なんて人も。

「え、本当にそんなにもらっている人がいるの?」と、モヤモヤしてしまいますよね。
厚生労働省の令和6年度介護従事者等処遇状況等調査結果の概要によると、介護職員(月給・常勤)の平均給与額は33万8,200円で、前年より約1万4,000円増えているという報告が行われています。
パッと見は着実に改善しているように見えますが、まず押さえておきたいのは、「33.8万円」という数字の中身です。
これは厚生労働省の調査で出ているもので、基本給だけでなく、夜勤手当・処遇改善手当などの各種手当、さらに賞与(ボーナス)を月あたりに均した分までまとめて合計した額です。
いわば「1年間の総収入を12で割った数字」なので、毎月の手取りとは別物だと考えたほうがスッキリします。
さらにこの平均には、勤続年数が長いベテラン職員やリーダー職、資格を多く持っている人も含まれています。
介護の仕事を始めて数年の人や、まだ資格が少ない人が自分の明細と比べると、「自分はこんなに遠いんだ」と感じやすいのは当然とも言えるでしょう。
そこに追い打ちをかけているのが、控除です。
社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険)と、所得税・住民税が毎月まとめて引かれるため、総支給が27〜30万円あっても、手取りは20万円台前半まで一気に減ります。
数字の上では「平均33.8万円」、実際の給与振込では「手取り20万円前後」という違いが生まれるのは、このためです。
そして介護職の給与は、基本給よりも手当で支えられているケースが多く、夜勤や残業を減らすと、総支給が目に見えて減ってしまうことも少なくありません。
短期的には手当で何とかなっても、基本給が低いままだと、賞与や退職金にも響いてしまうという長期的な問題もあります。
【具体的に】控除によって、総支給(額面)と「手取り」はいくら違う計算になる?
給与明細の上のほうに書かれているのが「総支給額」、最後に残るのが「差引支給額(手取り)」です。

ここで大きく差をつくっているのが、社会保険料と税金。
フルタイムで働く介護職の場合、健康保険・厚生年金・雇用保険で数万円、そこに所得税・住民税が加わり、合計で5〜7万円ほど引かれている人も多いはずです。
たとえば、総支給が27万円だとしても、控除で6万円差し引かれると、手取りは21万円になります。
「え、そんなに引かれているの?」と思ったら、一度明細の控除欄を上から順番に見てみてください。
「これは将来の年金のため」「これは医療費の自己負担を減らすため」と一つずつ控除の意味を調べていくと、「どこに消えたのか分からないお金」が、だんだんと見えてきます。
もちろん、生活を考えるうえでは手取りがいちばん大事です。
そのため毎月の生活は手取りベース(振り込まれる金額)を前提に考えつつ、「控除されているお金も将来の自分のために先に払っている」というイメージを持てると、少し気持ちがラクになります。(実際間違っている事ではありません)
手当に依存しており「夜勤なし」では生活できない
先ほども参照した通り、介護職の平均月収33.8万円の内訳として、基本給は19万円台、残りは各種手当と賞与の月あたり分でカバーされていることが多いです。
つまり政府が調査として報告している「平均月収33.8万円」という数字は、夜勤手当や処遇改善手当などの「上乗せ」があってようやく届いている水準だと考えられます。
実際の求人票を見ても、「基本給20万円前後+処遇改善手当+夜勤手当」といった書き方が多く、夜勤の回数で月収が大きく変わる職場は少なくありません。
若いころは「夜勤にたくさん入れば大丈夫」と思えても、体力や家庭の事情で夜勤を減らしたくなるタイミングは、誰にでもやってきます。
その際に総支給がグッと下がり、将来への不安が一気に強くなる人も多いと耳にします。
なのでまずは、「自分の収入は、基本給と手当のどちらにどれくらい寄っているか?」を一度整理してみると、今後の働き方や職場選びを見つめ直しやすくなります。

基本給が低いことで賞与・退職金も下がり生涯賃金へ悪影響を及ぼしてしまう
目の前の手取りを増やすという意味では、手当が多い給与はありがたい面もあります。
ただ、多くの職場では、賞与や退職金の計算に使われるのは「基本給」です。
同じ手取り25万円でも、「基本給が高くて手当がほどほどの人」と「基本給が低くて手当だらけの人」では、10年・20年と時間がたつほど、賞与と退職金に差がついていきます。
たとえば、基本給をもとに「年○か月分」で賞与が決まる場合、基本給が1万円違うだけでも、年2回の賞与で数万円の差になります。
これが10年続けば、合計ではかなりの違いです。
若いうちは「夜勤で稼げるからいいや」と思えても、将来のことを考えるなら、「この職場で基本給はどれくらい上がっていきそうか」「評価や資格で基本給が上がる仕組みはあるか」を一度確認しておくと、将来の不安を減らしやすくなります。
手取り12万で生活できないレベルのケースも?ハローワーク求人を元に実態調査

- ハローワーク求人の平均月給21.8万円は「求人票に書かれた金額の平均」にすぎない。
- 介護職員の平均給与33万8,200円は、夜勤や各種手当、賞与がのった人たちの数字。
- 地方や日勤中心の条件では、月給16万〜18万円から手取り12万円台になるケースがある。
- 求人票では「基本給・手当・夜勤・賞与」の4点を確認すると、入職後のズレを減らしやすい。
- 収入が足りないときは、資格取得や夜勤回数、住む地域などで調整する道もある。
ハローワークの求人票には「月給20万円以上」と書いてあるのに、働いて初めての給与明細を見たら手取りが12万円台だった、なんてケースは珍しくないようです。
なぜそうなるのか?公的なデータと現場寄りの目線をまぜて整理してみましょう。
まず、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag「施設介護員」)によると、ハローワークに出ている施設介護の求人賃金(月額)全国平均は21.8万円と報告されています。
また同じ統計で有効求人倍率は3.09倍とされているため、数字だけを見ると、「人手不足だから賃金も上がって来るのでは?」と考える人もいるでしょう。
先ほどの介護従事者処遇状況等調査(令和6年度概要)でも、介護職員(常勤・月給)の平均給与が33万8,200円と出ていましたよね。
ただここで「あれ??」と思うのが、実際に働いている人の水準とハローワークの求人票の水準がかなり違う点です。
求人統計の21.8万円は、あくまで募集時点の金額の平均であり、地域・勤務形態・経験年数などによって大きくばらつきがあります。
このバラつきは仕方無いとして、更に出てくる問題が、多くの人が「求人統計の月給=自分の手取りに近い金額」だと思いやすく、
平均給与は33万円くらいなのか🤔
↓
求人票だと21万円くらいか🤔
↓
まあ初めは平均より低くても仕方ない🤔
しかし実際の地方の小規模施設になってくると、月給16万〜18万円・賞与控えめ・夜勤回数少なめといった条件だと、社会保険料や税金を引いたあと、手取りが12万円台になることもあり、イメージとの差があまりにも激しくなってしまうのです。
そのため少しでも、この差を減らすためには「とにかく求人票を細かく見ること」が大事です。
- 基本給はいくらか?
- 処遇改善などを含む各種手当はいくらか?
- 夜勤1回あたりの手当と回数は?
- 賞与は何か月分か?
この4点さえチェックしておけば「入ってみたら思ったより少なかった・・」とは、なりにくいでしょう。

勤続10年でも昇給が6万円程度?勤続年数別の平均給与と賃金カーブを調査

「10年もやっているのに、思ったほど給料が増えていないかも…」と感じている方が、正直少なくないというのが、この業界ならではのあるある問題です。
実際に厚生労働省のデータ「介護従事者処遇状況等調査(令和6年度概要)」を見てみても、介護職員が同じ職場で10年以上働いても、平均月給の伸びは約6万円にとどまっているように見えます。

実際のデータの中では、介護職員(常勤)の勤続1年目の平均月給は約29.9万円、勤続10年以上では約35.9万円とされています。
調査対象は特養や老健、訪問介護、通所系サービスなど全般が含まれているので、データの偏りも少ないでしょう。
しかも、この金額には夜勤手当や資格手当、賞与の一部などが含まれているため、基本給そのものの伸びはさらに小さいケースが多いです。
責任はどんどん重くなるのに、手取りの変化はゆっくりで、「これでキャリアアップしている」なんて事は、他の業界を見ていると言えないでしょう。
一方で、同じ統計では勤続5〜9年の平均月給が33万5,640円とされており、資格手当や役職手当、介護職員等特定処遇改善加算などをうまく受け取れている人は、10年前後で35万円台に乗せているケースもあります。
▼データを整理しておくと・・
1年目:29万8,760円
2年目:30万9,630円
3年目:31万6,080円
4年目:32万2,370円
👉最初の数年間は毎年1万〜2万円ほどのペースで上がっている
⚠️ただし5〜9年目になると平均33万5,640円となり、1年目からの増加幅を考えると、たったの約3万7,000円と急に増えなくなっている
さらに10年目以上になると平均35万9,040円となり、勤続1年と比べた差は約6万円。
10年かけて少しずつ増えているものの、年あたりに直すと月5,000円前後の給与UPに近く、長く働くほど給与が大きく上がっていくという、一般的な企業で働く時のイメージとあまりにも違い過ぎる・・。
ちなみにデータの見方を少し変えると、小規模多機能型居宅介護や認知症グループホームなどでは平均給与が30万円前後にとどまっているので、勤務先によっては更なる差が出てきそうです。
たしかに数字だけを見れば毎年わずかに賃金水準は上がっていますが、10年以上続けても大きな変化がないと感じる人が多いのも無理はありません。
なぜ介護職の給料は上がらない?安すぎると言われやすい5つの根本的な理由


理由1:国の「介護報酬(公定価格)」により会社の収益上限が決まってしまっている
「あなたの給料をもっと上げたい」と思っている事業所でも、そもそも入ってくるお金の天井が国に決められている・・これが、介護職の給与がなかなか増えにくい一番最初の前提になっています。
介護保険サービスの料金は、利用者さんと施設が自由に話し合って決めているわけではありません。厚生労働省が定める介護報酬という公的な単価表があり、「このサービスを◯分提供したら何単位」といった形で細かく金額が決められています。事業所の売上は、この単価と利用者数・提供回数を掛け合わせたもので、ここでほぼ上限が決まってしまうという訳です。
この単価は、「サービスを行うのにどれくらい費用がかかるか」という平均的な数字や、地域ごとの人件費の差などをもとに国が計算し、地域区分ごとに設定しています。
詳しい考え方は厚生労働省の地域区分の資料にまとめられており、事業所が「うちはもっと高く請求したいので、単価を倍にします」といったことは基本的にできません。
ちなみに2024年度に介護の報酬改定が実施されており、全体の改定率は+1.59%(うち+0.98%が待遇改善分)とされています(全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料)。
数字だけを見ると「少しは増えている」ように思えますが、その枠の中から人件費だけでなく光熱費や物品費なども払わなければならず、職員一人あたり月給を数万円アップといった思い切った引き上げは、多くの事業所にとってかなりハードルが高いでしょう。
現場で働く側からすると、「こんなに忙しいのにどうして給料が増えないのか」と感じやすいところですが、事業所側も「もっと払いたくても、国が決めた単価の範囲内でしかお金が入ってこない」という板挟みになっている・・というのが現実です。
まずは、この国が設定した単価の枠が、介護職の賃金に大きく影響しているという前提を理解しておくと、その後の話も理解しやすくなります。
理由2:深刻な人手不足(有効求人倍率が3倍超え)により、とにかく負荷が高い

介護の仕事では、いつも人が足りず1人あたりの仕事が多すぎるという状況が普通になってしまっています。(あなたの周りだけではなく、それが普通なのです・・)
その割に給料はほかの仕事より低めで、「この働き方をずっと続けられるのか」と不安になってしまう人が非常に多いです。
たとえば特養や有料老人ホームでは、本当は3人で見たいフロアを2人で担当し、オムツ交換・起床介助・食事介助・トイレ誘導・ナースコール対応を、ほとんど休みなくこなす日もあります。
合間に記録を書き、家族からの相談にも応じるので「今日もけっきょく休憩らしい休憩が取れなかった」なんて日はザラにあるでしょう。
こうなってしまう大きな原因には「求人は多いのに応募が集まらない」という部分が大きいのですが、この問題が明らかにデータとして(しかも誰もが見える形で)出てしまっています。
介護関係職種の有効求人倍率は、直近でも3〜4倍台と、全職業のおよそ3倍前後の水準が続いています。求職者1人に対して複数の求人がぶら下がっている状態が日常になっている、ということです。
実際に介護労働安定センターの全国調査では、「大いに不足」「不足」「やや不足」と答えた事業所が8割前後にのぼり、多くの事業所が慢性的な人手不足を抱えたまま運営していることがわかります。
一方で、前述した通り厚生労働省の賃金統計などを見ても、全産業平均がおよそ42万円である一方、介護職員の平均は約31万円となっており「しんどいのに他の業界の方が給与水準が高い」となると、他の業界で働くことを考える人が増えるのは自然です。
世の中、お金が全てではないですが、それでも日々介護職として業界を支えている人を心から尊敬しております・・
なのでまとめると、介護業界の人手不足の原因は
忙しさに対して収入が見合わないと感じて離職する人が出る
↓
さらに人が減り、残った人の負担が増える
↓
また誰かが辞める

という負のループが問題をより大きくしており,その流れによりネットやSNSで「介護は給料が安い」と言われやすい状況につながっていると考えられます。
理由3:処遇改善加算などの政府による支援の”実感が無い”から
ニュースで「介護職の賃上げ」が取り上げられても、実際の給与明細を見て「どこが変わったのだろう」と首をかしげる人は多いはずです。
前提として一つあるのは、国からの支援は、まず介護報酬として事業所に入り、そこから賃金や手当としてみなさんに配分されます。
なので段階が多い分、支援が発表されても「自分の分はいくら増えたのか」「他はどこに消えてしまったのか」が本人からは見えにくくなりがちです。
さらに、「うちの事業所がどの加算を取っているのか」「いくらぐらい国から出ているのか」を、しっかり説明されていない職場も少なくありません。
(掲示や就業規則にサラッと書かれていても、忙しいのに見ている暇ないですよね。。)
なので実感としては「何か増えた気もするけれど、処遇改善のおかげなのか、たまたまなのか分からない」と感じる人が多いという風に聞いています。
実際の日本全国のデータを見ていくと、まず厚生労働省の公式資料を見ると、介護職員の賞与込み月収は、ここ10年ほどで5万円近く伸びているとされています。
一方で、同じ資料に載っている全産業平均と比べると、令和6年時点でなお8万円前後の差があります。
数字のうえではたしかに改善が進んでいるものの、「他の仕事と比べて十分か?」と問われると、まだ悩ましい水準です。
さらにややこしいのが、処遇改善の財源の流れです。NCCUが紹介した調査では、処遇改善加算について「給与が増えたと思わない」「よく分からない」と答えた介護職員が、合計で6割を超えていました。
日本労働政策研究・研修機構がまとめた別の調査でも、処遇改善加算を受けている事業所でも、多くが手当や一時金として支給しており、基本給に上乗せしているケースは限られているとされています。
また、より高い水準の「特定処遇改善加算」は、取得していない事業所も少なくありません。全サービス平均の取得率は57%にとどまり、「条件が複雑」「事務作業の負担が重い」といった理由から敬遠されることもあるとされています。
政府の施策がややこしいのは税金などでも一緒ですし、どこの業界でも似たような事はありそうです。。
理由4:「名ばかり管理職」問題により、昇進しても報われない
- 役職が付いて仕事は増えているのに、手取りが下がってしまうケースがある
- 法律上の「管理監督者」でない人まで、管理職だからと残業代を外されることがある
- 処遇改善の枠組みでは、本来は役職者に厚めの手当を付けることもできる
- 全国調査では、管理職ほど残業時間が長いわりに賃金差は小さいとされている
- その結果、「昇進しても報われない」と感じて役職を避ける流れが生まれやすい
「おめでとう、主任昇格だよ」。そう言われた瞬間は嬉しかったものの、数か月後の給与明細を見て「一般職だったころより手取りが減っていた」なんて嘘のような話が、介護の仕事では本当に起こります。
たとえば、夜勤や残業をこなして毎月4万円前後の時間外手当を得ていた人が、主任に上がった瞬間、「管理職だから残業代は付きません。その代わり主任手当1万円です」という条件になり、結果として給与が減っているのです。
仕事の中身はむしろ増え、シフト調整、家族対応、スタッフの相談、書類仕事まで背負うのに、手取りは3万円近くマイナスになります。
給与は気づいたら下がっているのに、なぜか負担だけ増えていくと「このままここで頑張り続けていいのか?」と不安になる、介護業界はそんな人ばかりというのが実情です・・
本来、労働基準法上の「管理監督者」として残業代の対象外にできるのは、経営に近い立場で大きな権限を持ち、それにふさわしい水準の給与を受けている人だけだと、厚生労働省の管理監督者の範囲に関する解説でも説明されています。
ところが介護の現場では、人事権や予算の決定権がほとんどない主任クラスまで、「肩書が付いたから管理職扱い」とされ、残業代がカットされてしまう例が問題になっているのです。
一方で、公費を原資とする処遇改善では、資格手当や役職手当も配分の対象にできると介護職員等処遇改善加算に関するQ&Aに書かれています。
本気でやろうと思えば、主任やユニットリーダー、サービス提供責任者に厚めに上乗せすることも可能です。それでも「みんなで平等に少しずつ分け合う」ことが優先されると、責任の重さに見合う増額には繋がりにくいです。
なのである意味、処遇改善などの政府支援の恩恵を最も受けづらいのは管理職の方なのかもしれません。。
実際のデータ👇を見れば見るほど、管理職が「名ばかりだけ・・」という現実が見えてきてしまいます。
📈公益財団法人による介護労働に関する全国調査では、月給制の介護労働者の通常月の平均月収は約24.9万円とされています。
→ちなみに残業時間を役職別で見ると、管理職の残業時間が最も長いという結果まで
📈さらに、厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査でも、介護分野では役職による給与差がそれほど大きくないことが示されています。
長時間働き、責任も重くなっているのに、手取りの伸びはわずか・・
そのような状況が続くと、当たり前ですが「いつも一番大変な場面を任されるのに、給与はほとんど増えない」「むしろ一般職の頃より生活が苦しい」という不満が重なり、ベテランほど別の業界に転じたり、あえて非常勤に戻ったりするケースも多いようです。
たしかに出世しても良い事がないなら、むしろ一般職のまま残業代をもらっていたほうが良いですよね。。
理由5:なぜか社会的な評価が低くなりがちで介護保険の財源不足も影響
利用者の笑顔やご家族からの「ありがとう」という言葉に支えられながらも、その裏では「自分のキャリアはこのままでいいのか?」と悩み続ける・・そんなモヤモヤが多い、この介護業界。
介護の仕事は人の生活を支える重要な働きですが、世間からの見方やお金のまわり方の問題で、賃金が上がりにくくなっているという部分もやはりありそうです。
まず大きいのが、仕事そのものへの評価。介護の仕事は、食事や入浴の支援だけでなく、認知症の方との関わり方、状態変化の観察、ご家族への説明など、高い専門性と気配りが必要ですよね。
それでもイメージとしては「特別なスキルがなくてもできる」「家族の延長のようなケア」という、全く根拠の無い嘘のイメージで語られることが少なくありません。
厚生労働省の調査では、「仕事内容のわりに賃金が低い」と感じる人が約半数、「業務に対する社会的評価が低い」と感じる人も4割近くいるとされています。こうした見られ方は、そのまま賃金水準にも影響しやすいです。
次に、介護の給料は普通の民間サービスと違い、「たくさん稼いだから給料をどんどん上げる」という発想だけでは動きません。事業所の収入の元になっている介護報酬は、公的な制度の中で金額が決まっているからです。
イメージとしては、「支える人の数」に対して「支えられる人の数」がどれだけ増えているか、という構図です。

昔は多くの現役世代で少ない高齢者を支えていたが、今は「少ない担ぎ手で重い神輿」を支えている状態に近い。
奈良市の介護保険制度の説明によると、介護サービスの費用はおおよそ半分が税金・半分が40歳以上の人の保険料で賄われ、利用者が1〜3割を自己負担する形になっています。
ここで人件費に回せる金額を増やそうとすると、どこかで税金や保険料、利用者負担の話を避けて通れなくなるということです。
その一方で、現場の仕事量や責任は年々重くなっています。高齢の利用者が増え、認知症ケアや医療的ケアに近い対応も増えるなかで、求められるスキルは上がるのに、それに見合った上乗せが追いついていないケースが多いのが現状です。
社会保障審議会介護給付費分科会の資料では、介護職員と全産業平均の月給の差が8万3000円に達しているとも示されています。
将来の事を考えたときに、「このまま続けて大丈夫かな」と不安になるのも無理はありません。
つまり、介護職の給料が上がりにくいのは、「やさしさだけで成り立つ仕事」という誤ったイメージと、公的な制度に縛られたお金の流れが重なってしまっているからです。現場の頑張りだけではどうにもならない部分が大きいからこそ、「なぜこんなに大変なのに給料が低いのか」と感じるのは、働く人にとってごく自然な反応だと言えます。
給料が安すぎる”今の職場で給料を上げる”には何がベスト?介護職で収入を増やす4つの具体的アクション

アクション1:資格取得(介護福祉士・ケアマネ)で資格手当を得る
夜勤も残業も増やしているのに給料がほとんど変わらない…。そんなモヤモヤがあるなら、シフトを増やす前に資格で月収を底上げできないかを考えてみたいところです。
厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査(令和6年度概要)では、介護職員(常勤)の平均月給は勤続1年目で約29.9万円、10年以上でも約35.9万円とされ、10年かけても増加は約6万円にとどまります。
そこで力になるのが介護福祉士です。介護福祉士等就業状況調査では、介護福祉士の約6割に資格手当があり、平均額は月9,055円とされています。資格を取るだけで年間10万円以上プラスになり、同じ職場でも家計の息苦しさが少しやわらぐイメージです。
さらに経験を重ねてケアマネを目指せば、夜勤なしで月およそ28万〜29万円台が目安になるというデータもあります。今の職場の就業規則や賃金規程を確認し、「資格取得後の月収」を書き出してみてください。それでも厳しければ、資格を持って別の職場へ動くことも含めて、次の一歩を検討しやすくなります。
アクション2:処遇改善加算の配分ルールを確認し、上司に交渉する
処遇改善加算が自分の給料にどう反映されているか、きちんと説明を受けた覚えがない、という声は少なくありません。「処遇改善って本当に入っているの?」と休憩室で話題になったことがある人も多いはずです。
厚生労働省の処遇改善加算のリーフレットでは、2024年度から加算を整理し、新しい区分で賃金を引き上げていく方針が示されています。また、処遇改善の特設ページには、事業所が介護職員に重点的に配分し、賃金規程などの文書に考え方を書き、職員に知らせることが求められると書かれています。
- 自分の事業所がどの区分に当たるか
- その加算を基本給・各種手当・賞与のどこにどれくらい回しているか
そのうえで、「自分は勤続〇年で〇〇の資格を持ち、リーダー業務や夜勤も担っています。
こうした条件に対して、今の給与はどのような考え方で決まっているのか教えていただけますか」と、上司に面談の時間をもらって落ち着いて聞いてみましょう。
責める口調ではなく、「長く働けるように一緒に考えたい」というスタンスで伝えることが、前向きな話し合いにつながります。
アクション3:今の職場の評価制度と昇給条件を再確認する
今の職場で「いつ、どれくらい給料が増えるのか」があいまいなままだと、どれだけ働いても将来のイメージがぼんやりしたままになってしまいます。まずは、自分の賃金がどんなルールで決まっているのかを、数字ベースで整理してみてください。
たとえば厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査では、同じ事業所で勤続1年目と10年以上の介護職員の平均月給に、約6万円の差があるとされています。
福祉局の介護職員処遇改善加算に関する資料も確認しておきましょう。
ただ、この差が実際に自分の明細にどこまで反映されるかは、職場ごとのルール次第です。モヤモヤは紙に書き出しながら整理すると分かりやすくなります。
- 就業規則・賃金規程を開き、評価は年に何回あるのか
- 評価ランクや等級ごとに、基本給が何円上がるのか
- 資格手当や役職手当、夜勤手当がどの水準で付くのか
- 処遇改善関連の加算やベースアップ分を、給与と賞与のどちらにどれくらい回しているのか
面談の場では、「次に等級を上げるには何が必要か」「資格を取ったらどのランクに移るのか」など、具体的な問いを準備しておくと話し合いがしやすくなります。
自分の立ち位置と昇給までの道のりが見えるだけでも、「この職場でもう少し頑張るべきか」「別の職場も検討するか」を冷静に考えやすくなります。
アクション4:「夜勤手当」「土日祝手当」など一時的対処でOKなので働き方を見直す

日勤だけでは家計が苦しいとき、いきなり転職や大きな昇給をねらうより、今の職場でシフトを少し変えるほうが動かしやすいことがあります。厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査(令和6年度概要)を見ると、平均月収には夜勤や各種手当も含まれており、同じ事業所でも手当の付き方次第で月収にかなり差が出ているとわかります。
夜勤1回5,000円の職場で、月3回増やせば+1万5,000円、土日祝手当が1回1,000円なら月4回で+4,000円。
合計で月2万円前後、年間では20万円以上変わることもあり、「あと少し足りない」を埋めるには十分な金額です。
とはいえ、夜勤や連勤を増やしすぎると体調や家庭生活が厳しくなります。「来年のボーナスまでの1年間だけ夜勤を月2回増やす」「子どもが小学生になるまで土日どちらかだけ入る」など、期間と回数に上限を決めてから、上司やシフト担当に相談してみてください。そのうえで、介護職員等特定処遇改善加算や資格手当もきちんと受け取りつつ、アクション1〜3で触れた資格取得や転職の準備も並行して進めていくと、今の暮らしと数年先の収入アップの両方に近づきやすくなります。
【最後に】介護職の給料は今後上がる?2024年改定以降の賃金見通し
2024年度の介護報酬改定による「報酬+1.59%」と処遇改善加算一本化給与は増えるか
2024年度の介護報酬が「+1.59%」になったと言われても、自分の給料がどれくらい変わるのかが一番気になるところだと思います。実は令和6年度介護報酬改定では、1.59%のうち0.98%が介護職の待遇アップ向け、残り0.61%はその他の見直しに充てられることになっています。さらに、これまで分かれていた加算が介護職員等処遇改善加算としてまとめられ、増えた加算の多くを基本給や毎月の手当に回すことが条件として求められました。
- 事業所の収入:+1.59%
- うち賃金アップの原資:+0.98%
- ただし光熱費や物価高への対応にも一部が回る
このため、制度だけを見ると「毎月の給与を少しずつ底上げしやすい方向」に向いていると言えますが、増えた分がどこまで職員の賃金に届くかは、事業所の経営判断や利用者数によってかなり変わります。
厚労省の統計では、処遇改善によって介護職の賃金は右肩上がりで推移している一方、全産業平均より低い水準が続き、2024年の賃上げ率も他業種より控えめとされています。
「2024年改定だけで急に給料が大きく増える」というより、数年かけてじわじわ増えていくイメージに近い、と考えておくのが現実的です。
自分の明細への影響を知りたいとは、「職場がどの区分の処遇改善加算を取っているか」「増えた分を基本給・手当・賞与のどこに回す予定か」を就業規則や説明資料で確認しておくと安心です。
今後の動向は「ベースアップ加算の継続」と「最低賃金の上昇」にかかっている
- これからの賃金水準は、ベースアップ向けの加算がどこまで続くかで変わる
- スタートの時給や月給は地域別最低賃金の影響を強く受ける
- 加算と最低賃金の両方が上がり、それが給与に反映されるかどうかが数年後の暮らしやすさを分ける
介護職の給料がこの先どこまで増えるのかは、ベースアップ向けの加算と地域ごとの最低賃金の上がり方が大きく関わってきます。
2024年度の介護報酬改定では、全体の改定率の一部を使って新しい介護職員等処遇改善加算が整えられ、平均2.5%(24年度)と2.0%(25年度)の賃上げを目安にする方針が出ています。求人票に「処遇改善手当」や「ベースアップ加算分」と書かれているのは、この流れを受けたものだと考えてよいでしょう。
一方で、時給や月給のスタート地点は、多くの地域で地域別最低賃金にかなり近い水準で決められています。コンビニやドラッグストアの時給が上がると、人材をつなぎとめるために介護の賃金も引き上げざるを得ず、「最低賃金+α」をどこまで乗せられるかが、数年後の手取りを左右します。
- 国の加算が続き
- 最低賃金も上がり
- 事業所が加算をきちんと賃金にまわせば、月給は少しずつ上がっていきます。
逆に、最低賃金だけが先に上がり、報酬や加算の伸びが追いつかないと、賞与や昇給が抑えられたり、求人票と入職後の給与イメージが合わないというモヤモヤにつながりやすくなります。